【エンジニアの挑戦】ボールプランジャスイッチ〜世界最小Φ4に挑む〜
目次
Φ4 そのサイズ、世界最小。
ボールプランジャスイッチ〔BP4S〕は、
手にしたエンジニア皆が「本当に動くの?」と口を揃えて驚くほどの超小型。
ボールプランジャに精密位置決めスイッチを内蔵した、1台2役の優れモノ。
BPシリーズは、部品点数の節減で機械の小型化が図れる、メトロールのオリジナル製品です。
そして2015年、新たにシリーズに加わった期待の新星〔BP4S〕は、Φ4デザイン。
従来の、外径M6のサイズと比べると、この小ささ!
世界最小への挑戦、始まる。
BP4Sの着想は、2013年まで遡ります。
きっかけは、「もっと小さいボールプランジャスイッチはありませんか」というお客様の一言でした。
「機械の小型化」は、製造エンジニアの永遠のテーマ。
最小サイズの追求は、メトロールの技術者たちの挑戦心を駆り立てました。
こうして、BP4S開発プロジェクトは始動します。
製品部のエンジニアHによる手描きの図面が、その第一歩でした。
実現不可能の設計図…?
意気揚々と着手した、BP4Sの開発。
しかし、図面をもとに製作した試作品は、求める繰返し精度に届きません。
試行錯誤を続けるものの、Φ4サイズに合わせた精密な部品が、組立圧入の際に変形してしまいます。
図面上では描けたモノが、実現できない。
部品の形状が、決まりません。
組立てに、糸口あり。
設計上の問題を解くヒントは、組立にありました。
従来は、スイッチの先端をカシメていたため、その際にかかる負荷でケースが変形していました。
そこで反対に、後方部分を圧入する方式に転換。
負荷を受ける部分を変えることで、部品が変形することなく組立が可能になりました。
そして、圧入に耐えうる形状を模索し、部品を決めていく。
数々の試作を繰返し、BP4Sは遂に、必要な繰返し精度をクリアします。
耐久に、落とし穴。
完成間近と思われたBP4Sですが、今度は、耐久試験で思わぬ問題が発生します。
目標の耐久回数100万回に対して、当初の結果は10万回。
プランジャの外径が小さくなったため、通常の焼き入れしたハウジングが使用できず、
ボールとハウジングのミスマッチによって、耐摩耗性が不足していたことが原因でした。
耐久の鍵は、超・硬・合・金!
そこで目を付けたのが、ボールの材質でした。
従来品の「SUS440」から「超硬合金」に換え、再度、耐久試験に挑みます。
ボールの材質一つで、どこまで結果が変わるのか?
試験の様子を、毎日見つめる開発者たちの不安をよそに、
新生BP4Sは100万回の耐久回数を突破。
「世界最小ボールプランジャスイッチ〔BP4S〕」、
メトロールの新たな「世界一」の誕生です。
完成度に、妥協なし。
精度と、耐久の壁。
困難を乗り越え、1年越しで完成したBP4S。
Φ4の超小型ボディが、その知恵と執念の証です。
外径だけでなく全長も、従来品の半分以下に。
手に取ると、思わず目を凝らすほどの小ささです。
もちろん、その性能も開発者のお墨付き。
0.01mmの繰返し精度は、入念な試験のもと実証済みです。
最後の難関であった耐久回数も、軽く100万回を達成できました。
Φ4の持つ、可能性。
1台2役の機能で、機械の小型化を実現するBPシリーズですが、
Φ4のBP4Sの登場によって、よりスペースの限られた条件下での位置決めに、役立てるようになりました。
インデックステーブルの割出し確認や、ステッピングモーターの原点出しなどを始めとした、様々な用途があります。
その潜在能力は未知数。
開発者ですら想像できない使い途が、きっとたくさんある。
日々少しずつ伸びていくBP4Sの販売本数は、
この小さな新製品に詰まった、大きな可能性です。